これならわかるOSSライセンス その1

江端コンサルタント   長年OSS業務に携わり続けてきた、OSSマーケティングのスペシャリスト。

<得意分野>
行政書士の資格を所有し、IPA国際標準化センターリーガルワーキンググループ主査としても活躍。
OSSライセンスに非常に詳しく、OSSを取り扱う各社からのコンサルティング依頼が殺到中のスペシャリスト。

<主な活動>
・OSSライセンス&コンプライアンストレーニング
・OSS組込みコンサルタンティング
・OSS関連コラム提供

行政書士/コンサルタント
エムキューブ・プラスハート株式会社
(IPA国際標準化センター主査リーガルワーキンググループ 主査) 江端 俊昭


オープンソースソフトウェア(OSS)とは、どういうソフトウェアでしょうか?
The Open Source Initiative(OSI)という団体が1998年に発表した「The Open Source Definition」(OSD)では
自由に再配布ができる、ソースコードが入手できる、派生物が生成できる等々、10種の定義がなされています。
では、再配布やソースコードの入手、あるいは派生物の生成等がなぜできるのでしょうか?
その答えを示すために少し著作権について触れておきましょう。

著作権とは、自ら思想・感情を創作的に言語、音楽、絵画、建築、図形、映画、写真、コンピュータプログラムなどの
表現形式によって表現した創作物(著作物)に対して、その利用を著作物の創作者(著作者)が占有することを
法律(著作権法)で定めた権利をいいます。
従って、あなたが著作権者でないのならばその著作物を利用できないということになります。

では、著作権者ではないあなたが、その著作物を利用したい場合、どういう方法があるでしょうか?

一つに著作権法は著作権者にその権利を他人に譲渡することを認めています。
しかし、著作権者はあなたに権利を譲渡することでその権利を失ってしまいますから簡単には権利を譲ってくれないでしょう。
また、著作権者が死亡することで権利を相続することもできますが、これはあなたが著作権者の法定相続人である、
または著作権者が遺言書に自ら亡くなった後に権利を贈与する者として指定する必要があり、
これも一般的ではありません。

他方、著作権法は、著作権者に他人に対して著作物の利用を許諾できることを認めています。
さらに許諾を受けた他人がその著作物を利用する際は、著作権者の許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において
これを利用することができると定めています。
この方法をとれば著作権者は自らの権利を失うことなく、いつでも、他人であるあなたに対して
著作物を利用させることができるだけでなく、その利用についての方法や条件を定めることができます。
これがライセンスといわれているものです。

また、OSSの著作権者は、そのOSSを利用に対して自らライセンスを策定したり、既存のOSSライセンスを
利用したりすることができるだけでなく同じコード内容のOSSに対して異なるライセンスを併存させることもできます。
ライセンスは、OSSを利用する上で欠かせない要件です。あなたが、OSSを利用するのであれば、
まずOSSのライセンスを入手し、あなたの利用したい条件と矛盾しない内容であることを確認することが大切です。